にはつめ

昨日はそーまさん
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明日は耳の人
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さて私の番。
なんかガチの小説っぽくなって普通に長文なので初の続きを読む利用ですこれ


夏の夜特有の生温い纏わり付くような空気が辺りを包んでいるが何故か暑さを感じない。精神的なものだろうか。
正確な場所は割愛させていただくがここはとある地方都市のややはずれ。
そこに青年が二人、先ほどから建物を見つめている。
何故こんなとこに彼らがいるのか。
話は少し時間をさかのぼる。


「きもだめしをしよう!」
「はぁ?」
とあるマンションの一室、そんなやりとりが繰り広げられていた。
やりとりの主は二人の青年、一人は平均的な体格をした青年。もう一人はやや小柄な青年。
二人とも10代の最後の歳を迎えてしばらくたつ。
「いきなりどうした?」
背の高いほうの青年がそう問う。この部屋の主である。名前はそう、仮に憲次としておこう。
「暑いし、この部屋クーラーないしさぁ。なんかこう涼しくしようよ」
背の低いほうの青年、憲次の友人である。こちらも仮に九輔と名づけよう。がそう言って立ち上がる。
二人は憲次の部屋でTVをみたり特に取り留めの無い話をしていたりしていたのである。
そこで突然九輔の先の発言があったのだ。
「クーラーないのは仕方ないだろ?買う金とか電気代とかそれ以前に食費とか」
「…お金ないんだね、いやそれはともかくとして」
「あぁ」
「隣の町の外れのほうにさ、割りとそれにあったスポットがあるらしいんだよ」
憲次はため息を付き、
「確かにおもしろそうだと思う。時期も時期だしそういうのもありだと思う」
「でしょ?」
「でもな?」
九輔の目を半ば睨み付ける様にして、
「お前と二人で行って何が楽しいんだよ!」
「どうせアテないでしょ?女の子呼ぶ」
黙る。数秒の沈黙。
「まぁ…、そうだな…」
「で、どうする?」
しばらく考え込んで、憲次は答えた。
「まぁ、いいか」


それから、車で二時間ほどかけてたどり着いたのは。
「なんつうか、モロだなぁ」
「だよね…」
元は白かったのであろう薄汚れた壁、ブロックを大きくしたような形、壁一面に並ぶ割れたり割れてなかったりする窓ガラス。
そう、きもだめしの定番の一つ。廃病院である。
「しっかしまぁ、でけえなぁ」
「大学病院かなんかだったのかなぁ」
確かにちょっとした大学ぐらいの敷地があり、いくつも建物がならんでいる。
「まー、あの一番大きいのにいこうか」
「そだな」
二人は建物の中に入っていった。


中は、意外に清潔だった。
尤も、汚れていないわけではない。荒らされていないのだ。
普通こういう建物はあまり褒められた素行をしていない物のたまり場にされたりするのが通例である。
そういった形跡がほとんど見られないのである。
「とりあえず、どうするよ?」
「どうせだし、あっちこっちの部屋まわろうか」
そういって手近な部屋の戸をあける。
元はレントゲン室かなにかなのだろうか。5メートル四方程度の部屋の端の方にベッドのような長方形の台があり、扉の反対側には窓ガラスと扉がある。
突然、ガタン!と音がする。
二人はそーっと顔を見合わせ、
「…お前…じゃないよな?」
「…うん」


また、上の階に上りおそらくはかつて病室だった何も無い部屋にはいると。
『………で……にい………の』
「やべぇ、まずい!」
脱兎の如く部屋から走って逃げた。


そうこうしている間に一番上の階の、おそらくは院長室らしきところに来た。
「これで終わりにしようか」
「あぁ、一通り周ったしな」
その部屋に入る。
そこそこの広さの部屋だったが今までの部屋と一つだけ違うところがあった。
物があるのだ。それもまるでその建物が病院だった頃のように。
「なんか違うな」
「ちょっとなんかおもしろい物無いか調べようか」
九輔がそう言って左側の壁を指差し、
「俺はあっち調べるし反対側みといて」
「あー、わかった」
憲次は反対側の壁の方を向く。
「なんかやばげなのもいくつかあったけどちゃんと帰れそうだなー」
九輔は調べ物をしているのか、返事が無い。
「帰りお前運転してくれよ?帰りも二時間運転するのはきっついし」
「そうだね、帰りは俺が運転しないとね」
今度は返事があった。
「まぁ憲次は気にしなくてもいいとおもうよ」
「ん?」
声が何故か近い気がした、憲次は思わず振り向こうとして、
「君は片道だけだから」
グサッ